【2月2日 AFP】健康的な食事をして禁煙すれば、米国で2010年に予測される冠状動脈性心疾患による死者40万人のうち、半数の20万人は死亡を避けられる可能性があるとする研究が1日、世界保健機関(World Health OrganizationWHO)の広報誌「Bulletin of the World Health Organization」に発表された。

 心臓血管のリスク要因について書かれた今回の研究報告によると、1990年代に肥満の人や糖尿病患者が急増したため、心血管の健康における改善傾向が滞ってしまったという。

 WHOのLaragh Gollogly氏によると、米国の喫煙者2人のうち1人が禁煙すると、全米人口における喫煙者の割合が25%から12%まで下がるため、心疾患による米国内の死者数は半数にまで減らせる可能性があるという。

 WHOの慢性病予防・管理部門のコーディネーター、Shanthi Mendis氏は、「喫煙を避け、健康的な食事をとり、規則正しく運動すれば、心疾患や心臓発作、糖尿病になるリスクを劇的に減らすことができる」と語る。

 Gollogly氏は、公衆衛生関連機関にとっても、人々の行動様式を変えることが大きな課題だと語った。

 研究を共同執筆した英リバプール大学(University of Liverpool)のサイモン・ケイプウェル(Simon Capewell)氏は、世界の大半の人々の健康を決定づける大きな要因はライフスタイルだと語る。

 研究によると、世界の成人のうち約10億人が肥満で、対策を講じなければ2015年までにその数は15億人を超えるという。

 コレステロールの摂取量が減り、喫煙者数が減少し、運動する人が増えたことから、心臓血管の健康状態は1970年代から著しく改善されたが、肥満者数も増えたことからこれらの改善効果が行き詰まりを見せていると研究報告は述べている。(c)AFP