【1月8日 AFP】ヒトの全遺伝情報(ゲノム)のなかに、人類の祖先が4000万年以上前に感染したとみられるウイルスの遺伝子の一部が取り込まれていることを、大阪大学(Osaka University)などの研究チームが発見した。7日の英科学誌ネイチャー(Nature)で発表された。

 このウイルスは1970年代に発見された「ボルナウイルス」で、動物の脳に感染しやすい。ヒトの疾患との関係や感染経路ははっきりしていない。

 大阪大学の朝長啓造(Keizo Tomonaga)准教授らのチームは、ヒトや類人猿、ゾウ、有袋類やげっ歯類など哺乳類のDNAを比較分析した結果、さまざまな動物で、ボルナウイルスの遺伝子配列の一部が組み込まれていることを発見した。ヒトのゲノムのなかでは数か所で見つかった。

 ヒトゲノムの8%がウイルスに由来する遺伝子と言われるが、これまで脊椎(せきつい)動物のゲノム内に遺伝子が組み込まれることが知られていたのはレトロウイルスだけだった。

 ボルナウイルスの遺伝子の一部が組み込まれたことで起きた遺伝子変異はあったのか、遺伝病の原因あるいは病気の予防になっているのではないかなど、今回の発見は今後、活発な議論を呼びそうだ。(c)AFP