【1月7日 AFP】(写真追加)長年、脳腫瘍の原因になるのではと疑われてきた携帯電話だが、アルツハイマー病の治療に重要な役割を果たす可能性が明らかになった。米サウスフロリダ大学(University of South Florida)の研究チームが6日、専門誌「Journal of Alzheimer's Disease」で発表した。

 研究チームによると、米国の携帯電話と同程度の電磁波を1日2回それぞれ1時間ずつ照射した96匹のマウスで、驚くべき結果が出た。長期間にわたって携帯電話の電磁波を照射した場合、高齢のマウスでβアミロイドの蓄積が解消し、記憶力が向上したのだという。βアミロイドとは、アルツハイマー患者の脳内に蓄積し、特徴的なプラークを生成するタンパク小片。

 記憶障害の兆候が全く出ていない若いマウスは、数か月の照射によってアルツハイマー病の予防効果があった。また、アルツハイマー病の遺伝的素因をもたない普通のマウスの記憶力は、電磁波の照射後には向上したという。

 研究チームによると、電磁波の照射から効果が見られるまで、マウスの場合は数か月かかったが、これは人間でいうところの数年にあたるのだという。

 研究チームの1人は、「われわれは人間が携帯電話を使う時の電磁波と等しい電磁波パラメーターを選び、人間の記憶実験と非常に近い条件でマウス実験を行ったので、実験結果は人間に非常に関連性があると信じている」と語った。

 一方、アルツハイマー病協会(Alzheimer's Association)のウイリアム・ティース(William Thies)氏は、この研究について「非常に予備的なもの」だとし、携帯電話を過剰に使うなどして自ら治療しようと試みないよう警告した。(c)AFP