【12月2日 AFP】集団の中で誰か1人が孤独を感じ始めると、その孤独感はほかの人にも伝染するとする論文が、1日発行の米科学誌「Journal of Personality and Social Psychology」12月号に発表された。

 米シカゴ大(University of Chicago)などの研究グループは、米国立老化研究所(National Institute on Aging)の資金援助を受け、10年以上にわたって5100人以上を対象に2~4年ごとに友人関係や孤独感に関する聞き取り調査を行った。

 その結果、1週間のうちに孤独を感じる日が以前よりも増えたと答えた人は、その近所にいる人や近しい友人たちの孤独感も深めていることがわかった。また、このように孤独感やネガティブな感情が周囲の人に伝染するパターンは、近所の人同士が交流する時間が少ないほど強化されることもわかった。

 また、孤独で孤立した人々は、社会ネットワークの周縁部に移動する傾向があることも明らかになった。そうなると友人は減り、社会とのつながりもますます失われていく。

 これまでの研究では、女性は男性よりも精神的支援に依存する傾向があることが示されているが、今回の研究ではやはり、女性の方が他人の孤独感に「感染」しやすいことが明らかになった。

 サルの社会では、孤立するメンバーは集団から追い払われることが多い。研究でも、人は孤独になればなるほど他人を信用しなくなり、友人関係の構築の妨げになることが示されている。

 主執筆者のJohn Cacioppo氏は「社会の周縁にいる人々に社会とのつながりを取り戻すように積極的に働きかけて孤独感へのバリアを作れば、社会全体のきずなが失われることを防げるかもしれない」としている。(c)AFP