【11月25日 AFP】ガソリンから発生したガスを吸い込んだ実験用ラットはより攻撃的になる――。こうした研究結果を、エジプト・カイロ大学(Cairo University)の研究者が24日に発表した。

 カイロ大のアマル・キナウィ(Amal Kinawy)氏は、実験用ラットを3つのグループに分け、それぞれ清浄な空気、有鉛ガソリンから発生したガス、無鉛ガソリンから発生したガスにさらす実験を行った。

 ラットを解剖して調べた結果、ガソリンから発生するガスにさらされたラットは脳の3つの部分で主要な神経伝達物質に大きな変動がみられた。さらに、無鉛ガソリンから発生したガスにさらされたラットの脳細胞は、フリーラジカルと呼ばれる分子によって損傷を受けたような状態になっていたという。

 また、特筆すべきは、有鉛・無鉛に関係なくガソリンから発生するガスにさらされたラットは、清浄な空気の中にいたラットよりも行動が攻撃的になり、実際に攻撃することも増えたという。

 キナウィ氏は、今後なお一層の研究が必要だと前置きした上で、自動車の排ガスなどによって汚染されている都市の空気を慢性的に吸っている人は攻撃性が増すのではないかと推測している。

 キナウィ氏はプレスリリースの中で、毎日、数百万人が給油する際や排ガスなどによってガソリン由来の気体にさらされているとし、特に発展途上国では、気分を高揚させるために意図的にガソリンを吸う事例もあると指摘した。

 この研究結果は、英バイオメド・セントラル(BioMed Central)が発行する「BMC Physiology」(電子版)に掲載される。(c)AFP