【11月18日 AFP】健康な骨のために大切だとされるビタミンDが不足すると、脳卒中や心臓疾患のリスクを大幅に高め、死につながる危険性もあるとする研究が16日、米フロリダ(Florida)州オーランド(Orlando)で開かれた米国心臓協会(American Heart Association)主催の会議で発表された。

 この研究を行った米ユタ(Utah)州ソルトレークシティ(Salt Lake City)にあるインターマウンテン医療センター(Intermountain Medical Center)心臓研究所の研究チームは、ユタ州在住で心臓血管疾患歴のない50歳以上の患者2万7686人を調査。その結果、ビタミンDレベルが著しく低い患者は、通常レベルの患者に比べ、77%も早く死亡する傾向にあることが明らかになった。さらに、冠状動脈疾患は45%、脳卒中は78%も高いこともわかった。また、心不全になる確率は2倍だったという。

 研究チームのハイディ・メイ(Heidi May)氏は、ビタミンDは容易に摂取することができることを指摘し、「ビタミンDのレベルを上げることで心臓疾患関連のリスクが減るならば、公衆衛生に大きな影響を与えることになるだろう」と語った。

 研究チームがユタ州を選んだのは、モルモン教徒が多いためタバコやアルコールを摂取している住民が少なく、ビタミンDが循環器系におよぼす影響を調べやすいことも理由の1つだという。患者を血中のビタミンDのレベルに応じて、通常レベル(1ミリリットルあたり30ナノグラム以上)、低レベル(同15~30ナノグラム)、著しい低レベル(同15ナノグラム未満)の3つのグループに分け、1年かけて調査を行った。

 研究では、ビタミンDが、心臓疾患と関わりのある血圧や炎症、血糖値のコンロトールなどの人体の重要な機能を調整することを助けるという点やビタミンD不足が筋骨格疾患を招くことなども明らかになった。

 研究チームの一員で、同センターの心臓血管研究部門ディレクターのブレント・ミューレシュタイン(Brent Muhlestein)氏は、この研究でビタミンD不足と心臓疾患との関連が確実に示されたわけではないと強調し、ビタミンD不足の患者に対する無作為抽出の臨床試験が必要だと指摘した。(c)AFP