【11月12日 AFP】新型インフルエンザA型(H1N1)のワクチンや抗ウイルス剤の不足が指摘されている米国で、病気を理由に有給休暇が取れない労働者が、新型インフルに感染した状態で出勤を続ける懸念が出ている。

 10日開催された新型インフルのパンデミック(大流行)時における有給病気休暇に関する米上院の厚生教育労働年金委員会の公聴会で、クリストファー・ドッド(Christopher Dodd)上院議員(民主党)は、新型インフルが「全米の労働者とその家族に非常事態を引き起こしている」と指摘。米国は有給病気休暇に関する国策がない世界でたった5つの国のうちの1つだと述べた。

 有給病気休暇の規定のない米民間企業で働く人々は5700万人おり、多くは配膳業やホテル業界の低賃金労働者だ。ドッド議員は、こうした労働者は新型インフルに感染しても、「同僚を感染させるリスクをおかして出勤するか、その日の給料をあきらめて欠勤するかの二者択一になる」と指摘した。

 米疾病対策センター(US Centers for Disease Control and PreventionCDC)の統計によると、米国では4月に初の感染者が確認されて以来、全米48州で5700万人が新型インフルに感染したとされ、子ども129人を含む700人近くが死亡している。(c)AFP/Karin Zeitvogel