【11月11日 AFP】世界保健機関(World Health OrganizationWHO)は9日、女性の生涯の健康に関する初の報告書「女性と健康(Women and Health)」を発表した。

 報告は、男性が意思決定の実権を握っていることによる社会的不平等などによって、健康にとって重要な若年期と高齢期に、女性が治療の機会を奪われていると指摘している。

 さらに、妊娠・出産に関わる合併症や子宮頸(けい)がんなど、女性特有の医療需要に対する対策の欠如は、死につながる可能性すらあると強調している。

 子宮頸がんは2番目に多いがんだが、ワクチンで予防できるほか、早期の検査で発見、治療することもできる。しかし患者の80%、貧困国ではそれ以上が死亡しているという。

 さらに、治療または予防できる出産・妊娠期の合併症は、15~19歳の死因のトップとなっている。妊娠中絶もその大きな要因の一つだ。

 医療スタッフや介護ヘルパーとして医療サービスの約80%を女性が提供しているにもかかわらず、医療システムは女性の医療需要に応じていないと報告書は指摘する。

 WHOのマーガレット・チャン(Margaret Chan)事務局長は、多くの社会で男性が政治的、社会的、経済的実権を握っていることが、医療サービスにも影響を与えていると主張した。

「これらの不平等な権力関係が治療を受ける不平等さや医療リソースの不平等な配分につながっている」と述べ、「世界の多くの地域で女性が2級市民として扱われる限り、顕著な進展を見ることはできないだろう」と指摘した。(c)AFP