【11月11日 AFP】米国で、試験管で培養した勃起組織がウサギの生殖機能の回復に成功したことが明らかになった。ヒトの勃起組織でも同じ方法での活用が期待でき、事故や病気で勃起障害に悩む男性にとって朗報だと言える。

 米ノースカロライナ(North Carolina)州にあるウェイクフォレスト大学バプティストメディカルセンター(Wake Forest University Baptist Medical Center)の再生医学研究所の研究者らが10日、「米科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of Sciences)」(電子版)で論文を発表した。

 研究では、まずウサギの勃起組織から採取した、血管の内側を覆っている平滑筋細胞と血管内皮細胞を試験管で培養した。その後、これらの細胞を3次元スカフォールドに注入した後に、ウサギのペニスに移植したところ、1か月後、ペニスでは血管構造を伴った合成組織の形成が始まった。そのしばらく後、ウサギの性的・生殖的機能が完全に回復したという。

 同研究所のアンソニー・アタラ(Anthony Atala)氏は、「当然、引き続き研究を行っていくことが必要だが、今回の結果は生殖機能の回復が必要な患者にとって注目すべき可能性を示した」「この技術を将来的に、先天的異常や陰茎がん、外傷性勃起障害などの患者に適用できることを期待している」と語った。(c)AFP