【9月15日 AFP】シャワーヘッドは細菌にとって理想的な繁殖場所で、危険な病原菌をたっぷり顔面にまき散らすとした米コロラド大学(University of Colorado)の微生物学者らによる論文が、14日の米科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of SciencesPNAS)に掲載された。

 研究チームが米国内9都市でシャワーヘッド計50個を分析したところ、30%のシャワーヘッドで、肺疾患の原因となるトリ型結核菌が大量に確認された。一般的に都市水道水には微量のトリ型結核菌が含まれているが、シャワーヘッドに付着している量はその100倍以上だった。

 同研究に先立ち、全米ユダヤ医療研究センター(National Jewish Hospital)が実施した研究は、トリ型結核菌など非結核性抗酸菌による肺感染の増加の背景として、風呂よりもシャワーを好む生活習慣との関連を指摘している。シャワーヘッドに付着した病原菌は、お湯とともに顔面に噴射され、容易に使用者の肺の奥深く達する可能性が高いからだ。

 コロラド大の調査では、特に妊婦やお年寄り、ほかの疾患などで免疫力が低下した人に、トリ型結核菌による肺疾患リスクが高いことが分かった。

 一方、井戸水を使用している小規模な自治体では、水道システムが普及した自治体よりも病原菌レベルが低かった。さらに、金属製のシャワーヘッドでは、病原菌レベルがプラスチック製のものよりも、かなり低いことがわかった。

 こうした調査結果から、研究チームは、病原菌対策として、金属製のシャワーヘッドを使用し、定期的にフィルターを交換し、シャワーのお湯を出してから約1分間、バスルームの外に出ていることなどを奨励している。

 なお、こうしたシャワーヘッドの病原菌は、通常の健康状態の人については、全く心配する必要はないレベルだという。(c)AFP/Mira Oberman