【8月29日 AFP】ブラン(小麦ふすま)に含まれる水に溶けにくい不溶性食物繊維は便秘の解消の役に立たず、それどころか一層悪化させるおそれさえあるとの研究報告が、28日の英医学誌「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(British Medical JournalBMJ)」に掲載された。

 一方で、インドオオバコ(Plantago ovata)の種子の皮殻から精製したサイリウムなどの水溶性食物繊維はストレスが引き起こす便秘の解消に効果があることが、この研究で明らかになった。

 ブランは多くの国で昔から便通に欠かせない食物とされ、医療専門家は日常的に摂取するよう薦めている。だが、不溶性食物繊維が便秘解消にどの程度役立つか調べる厳密な研究は、これまでほとんど行われていなかった。

 オランダのユトレヒト大学医学センター(University Medical Center Utrecht)のRene Bijkerk博士が率いる研究チームは、過去2年以内に過敏性腸症候群(irritable bowel syndrome、IBS)と診断されたか、腸に慢性的な問題を抱えていると診断された275人を3グループに分け、12週間にわたりそれぞれ異なる治療を行った。第1のグループにはブランを10グラムずつ毎日2回、第2のグループにはサイリウムを同量、第3のグループには食物繊維をまったく含んでいない米粉で作った偽薬をそれぞれ与えた。

 実験開始からわずか1か月で、サイリウムが3種類のうち最も便秘解消に効果的であることが明らかになった。実験開始から3か月後、症状の深刻度を測る指標はサイリウムのグループで90ポイント、ブランのグループで58ポイント、偽薬のグループで49ポイント改善した。

 研究チームによるとブランと偽薬の差は統計的に有意な違いではなく、ブランに医学的な効果はないという結果になった。それどころかブランは過敏性腸症候群の症状を悪化させる場合もあるとしている。

 これまでの研究で水溶性食物繊維は、血中コレステロールや血糖値を適当な水準に保つ効果があることが指摘されていた。水溶性食物繊維はオオバコのほか、オオムギ、オートミール、レンティル豆、果物や野菜に含まれている。(c)AFP