【8月27日 AFP】米オレゴン国立霊長類研究センター(Oregon National Primate Research Center)などの研究チームがこのほど、遺伝物質を入れ替えることで治療不能な遺伝病を予防する技術を開発し、この技術を使ってアカゲザルの子どもを誕生させることに成功したと、26日発表した。

 研究チームは、ミトコンドリア病の原因となる異常ミトコンドリアDNAを含んだアカゲザルの卵子から、遺伝因子を包み込んだ「紡錘体」を取り出し、これを別のメスの健康な卵子から紡錘体を抜いたものに入れ、融合させた。この卵子を受精させて子宮に移植したところ、4匹が誕生した。4匹とも健康体だという。

 ミトコンドリアは細胞の活動に必要なエネルギーを供給する微小な構造体で、男性染色体と女性染色体の両方が含まれるDNAとは違い、母性遺伝しかしない。今回の技術をヒトに用いると、異常ミトコンドリアDNAの遺伝を防げる可能性がある。

 異常ミトコンドリアDNAが直接起因した治療不可能とされる疾患は、この20年間で150以上が確認されている。(c)AFP/Marlowe Hood