【8月21日 AFP】新型インフルエンザA型(H1N1)の流行でワクチン不足が懸念される中、通学年齢の子どもと、その親の世代の成人に優先的にワクチンを接種すれば、新型および従来型の季節性インフルエンザ双方の感染拡大を抑えることができ、ワクチン不足も回避できるとの試算結果を米研究チームがまとめ、21日の米科学誌「サイエンス(Science)」に発表した。

 研究チームは、季節性インフルエンザが世界的大流行した1918年と57年のデータを調査し、それをもとに試算した。その結果、6300万回分のワクチンが供給される場合、感染数が最も多くなると予想される5-19歳の子どもと、接触機会の子どもたちの親世代である30-39歳の成人に優先接種すると、感染者数や死者数が最も少なくなることが分かった。

 研究チームの1人、米サウスカロライナ(South Carolina)州のクレムゾン大学(Clemson University)の数学者ジャン・メドロック(Jan Medlock)助教は、子どもとその両親にワクチン接種することで、感染拡大の元となる学校内および子から親への感染を防ぐことができるためだと説明している。

 従来、季節性インフルエンザ対策では5歳以下の子どもと50歳以上の成人にワクチンを優先接種するべきとされていた。新型インフルエンザによる死者数が増えつつある北半球各国では、数か月以内に季節性インフルエンザの流行が始まる冬を迎える。(c)AFP/Jean-Louis Santini