【7月30日 AFP】小児白血病患者の尿に含まれる家庭用殺虫剤の濃度は高いという新研究の結果を、米ジョージタウン大学(Georgetown University)のロンバルディ包括がんセンター(Lombardi Comprehensive Cancer Center)のチームが、学会誌「治療薬物モニタリング(Therapeutic Drug Monitoring)」8月号で報告した。

 同センターの伝染病学者で、研究を率いたオフィー・ソルディン(Offie Soldin)氏は、この研究で「ALL(急性リンパ性白血病)の子どもとその母親たち、また健康な親子から集めた尿サンプルを比較したところ、ALLにかかっている親子で、一般的な家庭用殺虫剤の濃度が高いことを発見した」と述べた。

 ソルディン氏は、これによって殺虫剤ががんを引き起こしていると仮定すべきではないとしながらも、今回の発見で、この分野に対する研究の強化が必要だという点は明らかに裏付けられたと強調した。

 研究は2005年1月から2008年1月の期間に、ALL患者の子どもとその母親41組と、健康な子どもとその母親41組を比較実験した。

 殺虫剤は被験者全体の半数以上の尿から検出されたが、2種類の有機リン酸エステル(OP)代謝物、ジエチルチオホスフェート(DETP)とジエチルジチオホスフェート(DEDTP)の濃度が「ALLの子どもの尿では高かった」という。

 殺虫剤は、皮膚や呼吸器を通して体内に容易に吸収される。ALL患者の子どもをもつ女性の約33%が、自宅で殺虫剤を使ったと回答した一方で、子どもが健康な母親で同じ回答をしたのは14%にとどまった。

 ソルディン氏は、「少なくとも85%の家庭には殺虫剤がある。だが当然、こうした家庭の子どもすべてががんを引き起こすわけではない」と指摘する。

小児白血病は通常、3~7歳の子どもがかかることが多い。(c)AFP