【7月29日 AFP】世界保健機関(World Health OrganisationWHO)の国際がん研究機関(International Agency for Research on CancerIARC)は29日、多くの人が日焼けするために利用している「日焼け用ベッド」のがん発症リスクの分類を、最高レベルに引き上げた。

 IARCによると、日焼け用ベッドは1992年にがんを引き起こす要因として「高い可能性」という分類に登録されていたが、その後の研究で、日焼けサロンで紫外線を浴びることが、がんを発症する危険性を高めることが明らかになったという。

 IARC研究員のVincent Cogliano氏は、AFPの電話取材に「日焼け用ベッドの使用は、がんを誘発する。皮膚や目に悪性黒色腫(メラノーマ)を引き起こす」と述べた。「健康な人が日焼け用ベッドを使用する必要は全くないだろう」

 英医学誌「ランセット・オンコロジー(Lancet Oncology)」に掲載された報告によると、30歳以前に日焼け用機器を使用した場合、皮膚がんの中で致死性が最も高いメラノーマの発症の危険性が75%高まるという。

 人工的な日焼け装置とがんとの関連性は以前から指摘されている。日焼け用ベッドの使用については、日光を過度に浴びることと同様、WHOや各国保健機関が警告を発していた。

 しかし、発がん要因であることを科学的に証明するためには高い基準をクリアしなければならず、これまでに多くのがん発生率の疫学調査や、動物での研究が行われてきた。そしてようやく、タバコやアスベスト、アルコールと同様、発がん性が確認された。

 Cogliano氏は、勧告を行うのはIARCの役割ではないとしつつも、今回の新たな評価によってこの問題への関心が高まることを期待していると語った。

 また、医師らも今回の決定を支持しており、数十億ドル規模の「日焼け」市場への規制強化を呼びかけた。

 一方、英国の日焼け用ベッドの業界団体は、日焼け用ベッドの「発がん性物質」への分類引き上げを批判し、「紫外線と皮膚がんの危険性が増大することとの関連性は、やけどなど過度に紫外線を浴びた場合にのみ生じる可能性がある」とする声明を発表した。(c)AFP/Marlowe Hood