【7月14日 AFP】HIV感染者がエイズを発症するのは、なぜ男性よりも女性の方が早いのか。米マサチューセッツ総合病院(Massachusetts General Hospital)ラゴン研究所(Ragon Institute)が、そのメカニズムを解明したとする論文を13日、英医学誌「ネイチャー・メディスン(Nature Medicine)」オンライン版に発表した。

 エイズに関する謎の1つは、HIV-1感染者のうち、初期段階で克服するのは女性の方が多く、その一方でエイズが発症するのも女性の方が早いという点だ。論文は、免疫系の主要要素の反応と、男女間のホルモン差に原因があるとし、発症プロセスを妨げる薬の開発にも応用できるとしている。

 研究では、免疫系において真っ先に反応する形質細胞様樹状細胞(pDC)に着目した。pDCは病原菌の侵入を感知して、ほかの免疫細胞に警告を発する。pDCはこのとき、レセプター7(TLR7)と呼ばれる小さな結合点を通じてエイズウイルスを認識。TLR7が活性化されると、pDCは免疫系における重要な分子、インターフェロン・アルファを呼び出す。

 研究チームは、実験室における培養試験で、pDCは女性ホルモンのプロゲステロンのレベルが高いほど活性化しやすいことを見出した。

 チームは次に、インターフェロン・アルファと、病原菌を撃退する免疫系の細胞の1つ、CD8細胞の活性化の関係性を調べた。その結果、CD8細胞が刺激されるほど、患者がエイズを発症するスピードが速いことがわかった。

 以上の結果から、チームは、免疫系がHIVに反応する部分で男女に重大な違いがある可能性があるとしている。感染初期では、免疫系の反応が強いほど女性に有利に働くが、長期的に見ると、ウイルスの永続的な複製や免疫系の慢性的な活性化はエイズ発症を早めることになるという。(c)AFP