【7月1日 AFP】フランスの医師らは前月29日、2年間月経がない23歳の女性に新技術を用いた卵巣移植を行い、妊娠・出産を成功させたと、オランダ・アムステルダム(Amsterdam)で開催中の欧州ヒト生殖学会議(European Society of Human Reproduction and EmbryologyEHSRE)で発表した。

 リモージュ大学病院(Limoges University Hospital)のチームは、鎌状赤血球貧血の女性に対し、化学療法を行ったあと、2段階の移植を行った。女性は今月22日、フランス東部ブザンソン(Besancon)で元気な女の子を出産したという。

 2004年に導入された卵巣移植は、がん患者の女性の体内から卵巣を摘出してこれを冷凍保存し、がんを治療後に解凍して体内に戻すという手法がとられていた。だが最大の難関は、元に戻した卵巣に血管を発達させるという点だった。血流が不十分だと、卵巣は排卵を促すホルモン活動に反応することができない。

 同大病院が新たに開発した卵巣移植は、2段階に分かれている。移植の3日前に、卵巣の一部分をあらかじめ移植しておくのだ。これには、血管の発達を促進し、卵巣を短期間でフルに機能させるという目的がある。

 今回の患者は、体外受精の助けを借りずに移植後4か月で排卵が始まり、その2か月後に妊娠したという。

 チームは、卵巣を10年間冷凍保存しているという別の患者にも同様の手法を試みた。この患者には体外受精をほどこし、現在は妊娠中という。(c)AFP