【4月29日 AFP】世界的な流行の拡大をみせている新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)はイスラエルでも感染例が確認された。そして、一部に強い反対があったものの、「豚インフルエンザ」との名称も使用されつづけている。

 ユダヤ教超正統派の政党、ユダヤ教連合(United Torah Judaism)のヤコブ・リッツマン(Yakov Litzman)保健副大臣は27日、ユダヤ教で食べることが禁じられている「ブタ」との言葉が含まれている「豚インフルエンザ」の呼称を、「メキシコ・インフルエンザ(Mexican flu)」に変更すべきだと語った。

 しかし、この発言は、メキシコの駐イスラエル大使とイスラエルの駐メキシコ大使の両者から歓迎されなかった。メキシコのフレデリコ・サラス(Frederico Salas)駐イスラエル大使と、イスラエルのYosef Livne駐メキシコ大使の両者が、イスラエル外務省に28日に抗議を表明した。

 イスラエル外務省高官は、AFPに対し「イスラエル政府は、新たな名称に変更するつもりはない。(副大臣の発言は)口を滑らせただけ」と語った。

 イスラエルの人口の大多数を占めるユダヤ教では、ブタを食べることが禁じられている。また、イスラエル国内の少数派アラブ人の大半が信仰するイスラム教でも、同様に禁止されている。

 一方、米国でも政府高官が28日、「豚インフルエンザ」の呼称が誤解を与え、一部の国が北米産豚肉の禁輸措置をとったことを受け、このインフルエンザの名称変更を検討していると述べた。(c)AFP