【4月29日 AFP】米疾病対策センター(Centers for Disease Control and PreventionCDC)は28日、米国内での豚インフルエンザ感染が確認されたケースが6州、65人に達したと発表した。うち5人が入院しており、CDCのリチャード・ベッサー(Richard Besser)所長代行は「死者が出ることを十分に予期している」と述べた。

 一方、カリフォルニア(California)州ロサンゼルス(Los Angeles)当局は同日、インフルエンザ特有の症状で死亡した男性2人について、豚インフルエンザとの関連性を調べていることを明らかにした。これを受けてカリフォルニア州は緊急事態を宣言した。死亡した男性のうち1人は後に陰性であることが判明している。

 CDCによると、これまで新型インフルエンザの人から人への感染が確認された例は、カンザス(Kansas)州の1件だけだという。

■豚肉の輸入規制相次ぐ

 米通商代表部(US Trade RepresentativeUSTR)は、同国内での豚インフルエンザの感染確認を受け、これまでに9か国が米国産の豚や豚肉に対する輸入規制を導入したと発表した。

 発表によると、米国産豚肉や豚肉加工品の禁輸を決定したのは中国、ウクライナ、カザフスタン、フィリピン、タイ、アラブ首長国連邦(UAE)、エクアドルの7か国。また、韓国が生きた米国産豚の輸入を禁止したほか、ロシアがカリフォルニア、テキサス(Texas)、カンザス(Kansas)、ニューヨーク(New York)の5州で生産されたすべての肉製品の輸入を禁止にしたという。

 専門家は、豚肉を食べてもインフルエンザには感染しないと強調している。米農務省とUSTRは、米国産豚肉の安全性を強調。ロン・カーク(Ron Kirk)USTR代表は貿易相手国に対し、科学的根拠に基づいて判断するよう要請するとともに、禁輸は「理由なく深刻な貿易の阻害となる恐れがある」と懸念を示した。

 こうした中、「豚インフルエンザ」という名称を変更しようとの動きも出ている。

■メキシコへの渡航自粛も

 感染の拡大を受け、これまでにオーストラリア、英国、カナダ、オランダ、フランス、スリランカ、スイスの各政府が、メキシコへの渡航自粛を呼びかけており、航空便の運休やツアー旅行の中止が各国で相次いでいる。

 また、キューバ政府は5月1日まで、メキシコ発着便すべてのフライトの中止を決定した。カナダの航空会社エア・トランザット(Air Transat)が6月1日までメキシコ発着便を停止すると発表したほか、米クルーズ会社もメキシコへの寄港中止を表明した。(c)AFP


【参考】厚生労働省のホームページ