【4月28日 AFP】感染が拡大している豚インフルエンザについて、香港の著名な微生物学者が28日、鳥インフルエンザに比べ致死性は低いとみられるものの、「パンデミック(爆発的流行)の可能性も非常に高い」との見解を示した。

 談話を発表したのは、香港大学の微生物学専門家、袁國勇(Yuen Kwok-yung)氏。豚インフルエンザの脅威の度合いを確定するには時期尚早としながらも「われわれが今、パンデミックの始まりにいるということは非常にありうる。近いところにはいる」と述べ、少なくとも米国で、国外から持ち込まれた感染と直接結びつかない地元での感染例が出始めているのは、そうした流行の兆しと捉えうると指摘した。

 また、そうした地元感染例のどれにおいても、豚との接触はなかったことから、ヒトからヒトへの感染が効率的に起こっていることが示唆されているという。

 豚インフルエンザが深刻な結果を招く疾病か、軽い症状ですむものかを判断するのは早すぎると袁氏は述べ、それは「季節ごとのインフルエンザと同様で、まだ誰にも分からない。少なくとも現段階では、思ったよりも高病原性鳥インフルエンザA(H5N1)ほど致死性は高くないようにみえる。比較的安心できる要素だが、楽観視はならない。次に何が起こるか予測できる者はいない」と警告した。

 空港などで強化されている検疫については、袁氏は今後数週間は現在の態勢を維持すべきだと主張する。また、数週間から数か月で豚インフルエンザは香港にも上陸するだろうとも警告した。

 袁氏によると、SARSSevere Acute Respiratory Syndrome、重症急性呼吸器症候群)の場合では、発病から10日後が最も激しい感染期で、患者はそれまでに隔離されていた。これに比較し、豚インフルエンザの感染期のピークは、発病よりも前にあるとみられ、この場合、感染を食い止めるのはより難しいという。(c)AFP

【参考】厚生労働省のホームページ