【4月9日 AFP】SFの中の話ではなく、「カロリーを消費する脂肪」が現実に存在するかもしれない。以前は乳児や子どもにしか存在しないと考えられていた、新陳代謝を促進する「褐色脂肪細胞」が成人の体内でも機能していることを報告する研究が、9日発行の米医学誌「ニューイングランド医学ジャーナル(New England Journal of Medicine)」に発表された。

 この「善玉」脂肪は、体内のほとんどの脂肪である「白色脂肪細胞」とは異なり、カロリーの消費やエネルギー消耗に役割を果たす。しかし、成人の体内に存在し、新陳代謝を実際に促している褐色脂肪細胞を示したのは今回の研究が初めてだ。

 報告の主執筆者である米マサチューセッツ(Massachusetts)州ボストン(Boston)、ジョスリン糖尿病センター(Joslin Diabetes Center)のC.ロナルド・カーン(C. Ronald Kahn)氏は、肥満や2型糖尿病の治療ターゲットになりうると期待する。

 同研究によると、褐色脂肪細胞は新陳代謝のうち特に体重コントロール面に関わり、褐色脂肪細胞の存在する割合が高いほど、加齢に伴う肥満から身を守っているとみられる。

 また血中グルコース濃度が平常で、若くやせ気味の被験者ほど褐色脂肪細胞の体内存在率が高かった。さらに褐色脂肪細胞は、熱を生み出すためにエネルギーを燃焼させる必要がある寒い時期ほど、活発なことも明らかにされた。

 研究では、なんらかの理由で過去3年以内にPET(ポジトロン放出断層撮影法)かX線(CTスキャン)による診察を受けた患者1972人を対象に分析を行った。女性全体の7.5%、男性の3%超で、相当量の褐色脂肪細胞の蓄積が認められたという。(c)AFP