【3月5日 AFP】米ワシントン(Washington)州では5日、「尊厳死」を認める新法案が成立する見込みで、同州は自殺ほう助を認める全米2つ目の州となる。

 前年11月の住民投票ですでに承認されている同法案では、州内の医師は余命6か月以内の末期患者に対し、致死量分の薬物の処方することが認められる。

 同様の法律があるのは、現在、全米でオレゴン(Oregon)州のみだが、モンタナ(Montana)州の裁判所は最近、末期患者は医師のほう助で自殺する権利があるとの判断を下している。

 ワシントン州の法案では、致死薬物を入手できるのは、18歳以上の同州永住者だけだという。患者が致死薬物の処方せんを得るためには、その患者とはまったく関係のない2人の人物が証人となった請求文書を提出し、その後、2回の口頭による請求が必要とされる。さらに、2人の医師が患者の余命が6か月以内であることを確認しなければならない。

 尊厳死支援団体「Compassion & Choices」のテリー・バーネット(Terry Barnett)氏によると、この法案に反対するワシントン州の医師は、自殺ほう助依頼を断る権利があるという。さらに、同法では、医師による薬物投与は許可されておらず、患者が自ら行わなければならない。

 バーネット氏は、隣接するオレゴン州での経過をみれば、ワシントン州でこの法律を利用しようとする末期患者が急増するようなことはないとの見方を示した。

「オレゴン州では、余命6か月との宣告を受けた末期患者が、すぐに致死薬物の処方せんを受け取るために殺到したなんてことは起こっていない。人びとは自らの病状が耐えきれないほど悪化して初めて、処方せんを手に入れる。入手後も使用せずに持っているだけの人が多かった。実際、処方せんは生命を絶つことではなく、生き続けることに役立っている」(バーネット氏)

 同氏によると、処方せんを得た患者の約30%は実際には使用せず、最期は持病で亡くなったという。(c)AFP