【2月26日 AFP】米医薬品大手のファイザー(Pfizer)がナイジェリア北部のカノ(Kano)州で、髄膜炎の子どもに未承認の薬を試験的に投与し、11人が死亡、多数の子どもに重度の後遺症が残ったとして、犠牲者の家族らがファイザーに賠償を求めていた問題で、ファイザーは賠償金の支払いに合意した。

 26日、交渉筋に近い関係者が明らかにした内容によると、ファイザーが賠償金を支払うことで両者は基本的に和解し、3月にイタリア・ローマ(Rome)で示談書の調印を行う予定だという。数百万ドルといわれる和解金の正確な額は明らかにされていない。

 同問題については、ナイジェリアのカノ州政府が犠牲者らを代理し、刑事、民事双方で裁判が行われていた。訴訟で州政府が要求していた賠償額は27億5000万ドル(約2700億円)。

 関係筋によると、ナイジェリアの軍事政権時代に最高指導者を務めたヤクブ・ゴウォン(Yakubu Gowon)氏と、ジミー・カーター(Jimmy Carter)元米大統領が交渉を仲介した。

 事件は1996年4月に、ナイジェリア北部のカノ州で、はしか、コレラ、髄膜炎が大流行して3000人の犠牲者が出た際、ファイザーが未承認のワクチン「トロバン(Trovan)」を保健当局の承認や親の同意なしに子どもたち約200人に投与したもの。結果11人が死亡、189人に重い後遺症が残った。ファイザー側は過失を一切認めていなかった。

 ファイザーに対してはこの件で、ナイジェリア政府も別の訴訟で65億ドル(約6370億円)の賠償を求めている。(c)AFP