【11月20日 AFP】携帯電話用ウェブサイトを利用したモバイル版うつ度診断サービスが、19日からスタートした。監修を務めるのは、日本の認知心理学における第一人者で、雅子妃の主治医を務めていることでも知られる、慶応大(Keio University)大野裕(Yutaka Ohno)教授(認知心理学)。同教授によると、ウェブベースのこのようなサービスは世界初という。

 携帯電話を使えば誰でも利用が可能。インタラクティブ方式で、睡眠や食生活、体重の変化、情緒の安定などに関する質問に答えると、認知心理学に基づいて現在のうつ度が診断される。

 コンテンツは、うつ症状の診断のほかにも、否定的な考え方を変える方法、気持ちを軽くする対処法など、7つの項目が用意されている。その一方で、「本サービスは治療を目的としたものではないため、軽度以上のうつと診断された場合は、医師の診察を受けることをおすすめします」といった但し書きがついている。

 うつの治療を受けている日本人は90万人程度にのぼるが、うつ病患者は実際にはこれよりもはるかに多いとされる。日本の自殺者数は世界最多の水準で、2007年の自殺者数は3万人を超えている。日本政府は約10年前から自殺者対策に取り組んでいるが、心理療法は国内ではあまり浸透していない。

 大野教授はその理由として、病院は臨床治療に重点を置いていること、心理療法が保健適用外であること、心理療法の専門家や医師が不足していることを挙げている。(c)AFP