【11月15日 AFP】英デーリー・テレグラフ(Daily Telegraph)紙は15日、卵巣全移植を受けた後妊娠した英国在住のドイツ人女性が11日に世界で初めて出産したと伝えた。

 ドイツのハンブルク(Hamburg)出身で、6年前からドイツ人の夫と英国に住んでいるスザンネ・ブッチャー(Susanne Butscher)さん(39)は、誕生した娘に、ローマ神話の豊穣(ほうじょう)の女神の名前をとって「マヤ(Maja)」と名付けた。マヤちゃんは選択的帝王切開で、体重3.2キロで健康に生まれた。

 ブッチャーさんは、ロンドン(London)のポートランド病院(Portland Hospital)でテレグラフ紙に対し、マヤちゃんは世界中の数百万人の不妊女性に希望を与えるだろうと語り、「ついに母親になれて感無量です。娘から目が離せません」と喜びの言葉を述べた。

 ブッチャーさんは、早発閉経による骨粗しょう症の進行を食い止めるため、姉妹から一方の卵巣の提供を受け、前年に米国で移植を行った。移植は成功し、その後自然排卵が始まった。

 専門家は、ブッチャーさんが受けた移植による治療法は、ブッチャーさんと同じように早発閉経に苦しむ女性や、がんで化学療法や放射線治療を受ける前に一方の卵巣を凍結保存した女性に恩恵をもたらす可能性があると話している。(c)AFP