【11月12日 AFP】米メリーランド大学医学部のチームは11日、好きな音楽を聴くことは心臓の健康維持に良いという研究結果を発表した。

 音楽を楽しむことによって引き起こされる感情が血管機能に良い効果をもたらすことが確認されたのは世界で初めてで、ニューオーリンズ(New Orleans)で開催された今年度の米国心臓病学会議(Scientific Sessions of the American Heart Association)で報告された。同チームは2005年に、笑いが心臓血管にもたらす好ましい効果についても発表している。

 メリーランド大医学部予防心臓学部主任のマイケル・ミラー(Michael Miller)準教授が率いたチームは、ボランティアの被験者として10人の健康な非喫煙者に、各自が楽しいと感じる音楽を聴いてもらった。すると、血管壁の内層の組織が拡張し、血流が増えたという。これは2005年の笑いと血管に関する研究とも一致する結果だった。

 好きな音楽でリラックスする度合いを最小限にとどめて誤差をなくすため、被験者には実験の最低2週間前から好みの音楽を聴かないようにしてもらった。

 具体的な数値では、楽しい音楽を聴いた後では、被験者の上腕の血管は平均26%拡張し、一方で不安を感じる音楽を聴いた後では、血管は約6%収縮した。

 音楽によって引き起こされる生理現象の変化は、快感物質と言われる脳内物質エンドルフィンの活動にも影響する可能性も明らかになった。

 ミラー準教授は研究結果について「日常生活に心臓の健康促進を取り込める新たな予防法となりうる」と語っている。(c)AFP