【10月16日 AFP】パソコンでのインターネット検索が中高年の脳を活性化するとの研究結果が、老年精神医学誌『American Journal of Geriatric Psychiatry』の最新号に掲載された。

 研究を行ったのは米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(University of California in Los AngelesUCLA)のチーム。研究の結果、ウェブ検索行為で脳中枢が活性化し、脳機能が刺激されるためとみられ、脳機能が向上する可能性があることも分かったという。

 実験は、神経学的に正常な55歳から76歳までの被験者24人を対象に行われた。被験者の半数はインターネット検索の経験があるグループ、残りの半数はネット検索の未経験者のグループだ。

 被験者は脳回路の変化を記録する機能的磁気共鳴画像(fMRI)診断装置を装着した状態で、ネット検索と読書を行った。その結果、ネット検索と読書の両方の行為で、全員に脳血流の変化がみられたが、ネット検索においては、検索経験者の脳血流変化は未経験者の2倍を記録した。さらに経験者グループでは、意思決定や論理思考をつかさどる脳の部位においても血流の活発化がみられた。

 このことから、ネット検索行為は神経回路に大きく影響するとの結論が導き出されたと、研究を主導したゲーリー・スモール(Gary Small)博士は話す。ただし、インターネットに慣れていることが前提だという。「ネット検索のように単純で日常的な行為が中高年の脳活動を向上させるということは、われわれの脳は年老いても学習し続ける能力があるということだ」
 
 今回の研究から、最新コンピューター技術がもたらす中高年への生理学的有効性が示唆されたと、スモール博士は期待を示す。またこの研究は、クロスワードパズルなど精神集中を持続させる複雑な活動が、脳の健康に効果的であることを新たに裏付けるものだという。(c)AFP