【10月1日 AFP】中国産の牛乳や乳製品に有害物質メラミンが混入し、乳児4人が死亡、子ども5万3000人が被害を受けた事件で、中国政府は数か月前から牛乳の汚染を把握していたにもかかわらず、北京五輪(Beijing Olympics)に汚点を残さないよう隠ぺいしていたと、ジャーナリスト、人権団体、メディア評論家などが明らかにしている。

 評論家によると、五輪開催から約1か月後の9月中旬に明るみに出たメラミンの混入事件だが、一部の中国人記者は汚染されたミルクを飲んだ赤ちゃんが病院に入院しているのを長い間把握していたものの、当局によって口止めされていた。

 中国南部の有力紙「南方周末(Southern Weekend)」の編集者Fu Jianfeng氏はブログで、7月には同紙記者の1人が、粉ミルクを飲んだ子どもたちが腎臓結石で重症になった理由を調べていたと明らかにした。

 ブログに掲載されたFu氏の記事は後に削除されたが、海外の中国語ウェブサイトでは読める可能性もある。Fu氏からコメントは得られていない。

 最初に赤ちゃんが死亡したのは5月1日で、問題が公になる4か月以上も前のことだった。

 国際人権団体「国境なき記者団(Reporters Without Borders)」は、「中国当局は7月の時点で、五輪開催を控えて国のイメージに傷が付くことがないよう、メラミンが混入した牛乳の調査を妨害したことが徐々に明白になってきている」との声明を発表した。

 国務院(内閣)の調査によると、三鹿グループ(Sanlu Group)には前年12月から乳児が健康を害したとの苦情が寄せられ始めた。また、同社本社がある河北(Hebei)省石家荘(Shijiazhuang)市の共産党職員は、五輪開幕6日前の8月2日に三鹿グループから報告を受けた後も1か月以上も上部組織への報告を怠っていた。

 人権団体によると、世界保健機関(World Health OrganisationWHO)と国連(UN)はリスクの発覚が遅れたことに対し懸念を強めているが、中国政府は記者の口止めを続けており、問題の所在を明らかにし、再発を防止する上で重要な役割を担うメディアの報道に圧力を掛けているという。(c)AFP/Peter Harmsen