【9月23日 AFP】アジア太平洋地域で各国政府が対策を強化しなければ、約20億人がデング熱に冒される危険があると、世界保健機関(World Health OrganisationWHO)が23日、警告した。

 WHOでは西太平洋地域の37か国・地域に、デング熱ウイルス対策を計画し、地域全体で取り組むよう勧告している。デング熱は現在、世界で急増している40種類の疾病の1つに挙げられている。WHOによると、アジア・太平洋地域では1991年から2004年にかけて流行し、ピーク時の1998年には35万人が感染した。

 世界全体で危険にさらされているのは約25億人で、うち18億人が西太平洋地域に住んでいる。2001年から2004年までの全世界のデング熱感染例の98%、また死亡例の99%はこの地域に集中しており、国別にはベトナム、マレーシア、フィリピン、カンボジア、ラオス、シンガポール、フランス領ポリネシア、フィジー、ニューカレドニア、中国で顕著だった。

 フィリピンのマニラ(Manila)で行われた地域委員会会合の討議資料の中でWHOは、デング熱が「過去30年間で大きく拡大した」と指摘し、理由として気候パターンの変動により、ウイルスを媒介するネッタイシマカの生息範囲が広がったことを挙げた。また「雨水の貯水や、タイヤやプラスチック容器、缶などの不適切な廃棄によって、媒介生物が繁殖する新たな環境を作り出している」とも指摘した。

 そのほかの要因としては移住や人口の変化、都市部の急速な発展などを挙げ「デング熱は流行している間だけ注意が払われ、あとは放置されている疾病。アジア太平洋地域の国の多くは対策のためのリソースを持たず、対応できる能力も限られている」と注意を呼び掛けた。

 WHOでは早期に適切な診断、治療が行われればデング熱の死亡率は1%以下に抑えられるとし、改善された最近の診断・予防・治療方法を導入する必要があると訴えている。(c)AFP