【8月27日 AFP】ボストン大学医学部(Boston University School of Medicine)の研究チームは26日、インドの伝統医学「アーユルヴェーダ」(Ayurveda)で使用するためインターネット上で販売されている薬剤の5分の1に、人体に害を与えかねないほど多量の鉛や水銀、ヒ素などの物質が含まれていたという論文を専門誌に発表した。研究チームではこれらの薬剤にも規制が必要だと指摘している。

 ボストン大医学部のロバート・セイパー(Robert Saper)氏の研究チームは、1978年以降、世界各国でアーユルヴェーダに関連して80件以上の鉛中毒が報告されていることを明らかにした。

 論文によれば、アーユルヴェーダで使う薬品には、ハーブのみで作られるものと、ハーブのほかに水銀や鉛、鉄、亜鉛などの金属や雲母や真珠などの物質を含むものの2種類があるが、研究チームが2005年にインターネットで購入した両タイプの薬品のサンプル193点をX線蛍光分光法(x-ray fluorescence spectroscopy)で測定したところ、全体の20.7%が金属を含み、その全てが1日の摂取許容量を超えていた。

 インドで製造された薬品のなかには、服用すれば許容量の100倍から1万倍の量の鉛や水銀を体内に取り込むおそれのあるものも数点あったという。

 研究論文の共同著者で、インドの鉛汚染を研究するNRCLPI(National Referral Centre for Lead Poisoning in India)でディレクターを務めるVenkatesh Thuppil氏は、「薬は病気を治療するためのもの。その薬に鉛などの毒性物質が含まれているために別の病気にかかってしまったなどということがあってはならない」と述べ、安易な薬品使用に警告を発した。

 セイパー氏の研究チームは論文で、政府に対し、「あらゆる栄養補助食品に対して、毒性金属の1日の許容摂取量を政府が設定し、厳密に実施する」ことを要求した。また、アーユルヴェーダ薬品の製造業者に対して、規制の順守を確認するため、独立した第3者に製品を提供することを義務づけるべきだとした。

 セイパー氏の研究チームの研究論文は、27日発行の米医学誌「Journal of the American Medical Association(JAMA)」に掲載された。(c)AFP