【8月12日 AFP】ビタミンDが欠乏すると、男女ともに死亡リスクが26%高まるとの研究結果が11日、米国医学会(American Medical Association)の機関誌「Archives of Internal Medicine」の最新号で発表された。ビタミンDの重要性が再確認されたかたちだ。

 米ジョンズホプキンス大学医学部(Johns Hopkins University School of Medicine)の研究チームは、健康な男女1万3000人を対象に、1994-2000年の間、血中のビタミンD値が低い人と正常値の人の死亡率を比較した。

 この結果、被験者で2000年12月31日までに死亡した1800人のうち、700人が心臓血管系疾患を原因とし、うち400人がビタミンDが欠乏していたことが明らかとなった。これは死亡リスクが26%高まることを示している。

 今回の調査で心臓血管系疾患による死亡とビタミンD欠乏の因果関係を立証するには、サンプル数が十分ではないが、傾向は強く示されており、ビタミンD欠乏と乳がんや高齢者のうつ病を関連付けている研究もあるという。

 同チームのこれまでの研究では、ビタミンDの欠乏で末梢動脈障害のリスクが80%高まることが明らかとなっており、同誌で6月に発表されたオーストラリアの研究チームによる研究結果でも、ビタミンDが欠乏すると、ビタミンD値が高い人と比べて死亡率が2倍になることが判明している。

 ただし、ビタミンDの欠乏が死亡率を高める理由については、依然として明らかになっていない。

 ビタミンDは人間の免疫系に重要な役割を果たす。同誌によると、世界の高齢者人口の50%以上でビタミンDが欠乏しており、若年層でも同じような傾向が見られる。ビタミンDの欠乏は、屋外活動の減少や加齢、大気汚染が原因に挙げられる。

 ビタミンDを正常値に保つため、医師らは太陽に1日あたり10-15分当たるよう勧めている。また脂肪分の高い魚などからも摂取できるという。(c)AFP