【8月6日 AFP】男性の包皮切除は有効なHIV感染予防策だとするいくつかの研究結果が、メキシコ市(Mexico City)で開催中の第17回国際エイズ会議(International AIDS Conference)で発表された。

 これまでにケニア、ウガンダ、南アフリカで実施された2つの臨床試験では、包皮切除により男性のHIV感染リスクが半分以上減ることが明らかになっている。

 こうしたことから、一部の学会では、男性をHIV感染から守る安価で安全な方法として包皮切除を奨励すべきとの声が高まっている。世界のHIV感染者数3300万人のうち3分の2が居住するサハラ以南のアフリカ諸国が、この方法で最も恩恵を受けるとの意見もある。
 
 その一方で、包皮切除が文化的・宗教的に反発を招き、また包皮切除した男性がHIV感染リスクが低いことに安心してコンドームを使用しなくなるのではとの懸念があった。

■HIVリスク行動は増えない

 会議では、米イリノイ大学(University of Illinois)の研究者らが、こうした懸念を払拭する調査結果を発表した。

 研究チームはケニアで、包皮を切除したばかりの男性1319人を調査。コンドームを使用しないなどのHIVリスク行動は、増えるどころか減る傾向があることが明らかになったという。

 貧困者の健康増進を目指す米国のNGO「PSIPopulation Services International)」は、ザンビアで2年間、18-24歳の男性計2784人を対象とした調査で、包皮切除は痛みを伴わず、性機能不全もないことが明らかになったとしている。実際、現地の男性たちは、包皮を切除するとペニスが硬く、大きくなり、性交時の快楽も増大してオーガズムを得やすくなると信じている。 
 
 包皮には、HIVウイルスが取り付いて侵入しやすいランゲルハンス細胞が多数あるため、包皮切除はHIV感染予防策として有効だという。(c)AFP