【7月15日 AFP】地球温暖化に伴い、米国では今後、腎臓結石患者が増えることが予測される。米テキサス大学(University of Texas)の研究チームが、14日の米科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of SciencesPNAS)にこのような研究結果を発表した。

 腎臓結石は尿中の溶解ミネラルが結晶化したもので、激しい痛みが伴う。充分な水分を摂らない、または気温が高いために水分が失われるなどによる脱水症状が要因となりやすい。

 研究チームは、国連の「気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate ChangeIPCC)」が2007年に予想した通りに温暖化傾向が続くと仮定した場合、国内の乾燥地帯では腎臓結石患者が30%増加すると試算した。また、腎臓結石患者は2050年までに全米で160万人から220万人にのぼり、治療費は10億ドル(約1100億円)に膨れあがるとみている。 

 同大サウスウェスタン医学センターのマーガレット・パール(Margaret Pearle)教授(泌尿器学)は、今回の研究は「地球温暖化が人体の健康に直接的な影響を及ぼすことを示した初めてのもの」だとしている。

 同教授によると、温暖な気候の地域に住む人が暑い地域に移住した場合に腎臓結石リスクが急激に上昇することは、中東に配備された米兵の例で明らかになっているという。(c)AFP