【6月19日 AFP】患者本人から採取したT細胞(T-cell)クローンを用いた皮膚がんの治療に成功した米国の研究チームの研究結果が18日、ニューイングランド医学ジャーナル(New England Journal of Medicine)誌に掲載された。

 T細胞治療に成功したのは、米ワシントン(Washington)州シアトル(Seattle)にあるフレッド・ハッチンソンがん研究センター(Fred Hutchinson Cancer Research Center)・臨床研究センター(Clinical Research Division )に所属するカシアン・イー(Cassian Yee)博士らの研究チーム。

 T細胞は免疫機構の調節に関与するリンパ球で、皮膚がんの発症源となる悪性腫瘍、メラノーマを攻撃することで知られるが、イー博士らは、皮膚がん4期の男性患者(52)の白血球からCD4陽性T細胞を採取。これを研究室内で改良、培養し、約50億個を本人の体内に戻したところ、2か月には鼠径部リンパ節と肺にまで転移したがんが寛解したという。治療後、2年が経過しても、がんは再発していない。この患者は他の治療は全く受けていないという。

 患者本人のクローン細胞で皮膚がんの治療に成功した例は、今回が史上初。さらに実験を重ねT細胞を用いた治療法の有効性が確認されれば、末期の皮膚がん患者の約25%程度に同治療法が適用できる見込みだという。(c)AFP