【6月9日 AFP】オーストラリア・メルボルン(Melbourne)で前年、ひも状の羊膜が絡みつき両足への血流が妨げられる「羊膜索症候群」にかかった妊娠22週目の胎児に対し、母親の子宮内での異例の手術が行われ、無事成功していたことが明らかになった。これまでの世界の子宮内手術で、妊娠の最も初期段階で行われた例とみられている。9日、病院関係者が発表した。

「リア(Leah)ちゃん」と名付けられた胎児が子宮内で成長するに伴い、ひも状の羊膜組織による締め付けによって両足切断を余儀なくされる危険性を指摘されたことから、両親は手術を決断した。

 手術が行われたモナッシュ医療センター(Monash Medical Centre)の広報担当は、こうした手術は通常、胎児の生存率が高くなる妊娠28週目まで控えられるため、22週目での手術は世界初だと思われると述べた。

 医師らは、母親の腹部に太さ2ミリのテレスコープ針で穴を開け、レーザーと電流で胎児の左足上のひも状羊膜組織を切断した。しかし、右足の状態はかなり悪く、ひも状羊膜組織が骨まで達していたという。そこで、クリス・キンバー(Chris Kimber)医師は、すでに感染し腫れ上がっていた右足はそのままにしておくという決断を下した。

 キンバー医師は地元エイジ(Age)紙に対し「右足は非常にひどい状態で、触れるにためらわれるほどだった。ほぼ死にかけていて、1本の細い動脈でぶら下がっている状態だった」と語った。

 前年秋に行われた手術時には、リアちゃんはわずか15-20センチだったが、手術後8週間後の1月に生まれた時には、体重1630グラムに成長していた。

 リアちゃんの出産後、医師らは壊疽(えそ)した右足の手術を行った。今後、足の機能は完全に回復し歩行も可能だろうと自信を示している。

 羊膜索症候群は羊膜索と呼ばれるひも状の羊膜組織が胎児の体にくっついたり巻きついたりして起こると考えられる発育障害で、1万5000人に1人の確率で発生するという。(c)AFP