【5月20日 AFP】仏パリ(Paris)で19日、エイズ(AIDS、後天性免疫不全症候群)の病原体であるHIV(ヒト免疫不全ウイルス)発見から25年を記念して、HIV/AIDSの国際シンポジウムが開催された。出席した専門家は、HIV/AIDSに関する医学的進歩を振り返り、エイズとの闘いを活性化させるには、新しい考え方や若い才能、資金投入が必要だとの見解を示した。

 最前線にいる専門家は、エイズとの闘いでこれまでにいくつかの目覚ましい成功があったとし、1990年代半ばの迅速なエイズ病原体の特定と、三剤混合薬の開発を称賛。これにより死を宣告されたも同然だったエイズが、管理可能なものとなった。

 一方、世界的流行を食い止める唯一の方法であるワクチン開発や、女性をHIV感染から保護するための膣用ジェル剤の研究などにおけるつらい失敗もあり、これらの失敗は、形状が変化し、免疫細胞にひそかに侵入するというHIVの特性について、基本的な問題が解決していないことを示しているという。

 米国のロバート・ギャロ(Robert Gallo)博士とともにHIVをエイズの病原体と特定したフランスのリュック・モンタニエ(Luc Montagnier)博士は、「HIVの形状は多様で、われわれが考えていたよりも複雑であり、われわれは依然として完全にはそれを理解していない」と語った。

 また、フランスの国立エイズ研究機関(ANRS)のJean-Francois Delfraissy所長は、「基礎研究の問題に立ち返り、新たな考え方と研究チームを取り入れ、細胞生物学における新たな見識が必要」との考えを示した。(c)AFP/Richard Ingham