PTSDに苦しむイラク・アフガニスタン帰還兵、「病院に行く」のは10人に1人
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【5月2日 AFP】イラクやアフガニスタンから帰還した米兵の大半が、「見えない傷」とも言うべき精神疾患を訴えている。だが、不名誉な烙印を押されることやキャリアに傷が付くことを恐れて、病院には行っていない。こうした調査結果が30日公表された。
調査は、米国精神医学会(American Psychiatric Association、APA)の委託を受けた世論調査会社ハリスインタラクティブ(Harris Interactive)が、イラクまたはアフガニスタンからの帰還兵347人とその配偶者を対象に行った。
それによると、10人中6人が戦場での「不快な経験」によるストレスを今も引きずっていると答えたが、そのうち精神科に行ったと答えた人はわずか10%だった。
なぜ精神科に行かないのかとの問いには、60%が「キャリアに響くから」、53%が「周りにバカにされそうな気がするから」と答えた。
また、3分の2が「心の病について家族や友人に話したことはない」と回答。「眠れない」「憂うつ」と答えた人は半数、「何をやっても興味がわかない」と答えた人は3分の1にのぼった。
「戦争中、心の病への警告サインには気づかなかった」と答えた人は65%で、「気づいていた」の35%を2倍近く上回った。
また、配偶者に対する調査では、約3分の2が、パートナーが戦場に行き1人で家庭を切り盛りすることにストレスを感じていたと答えた。
NGO「RAND」は4月初め、イラクやアフガニスタンから帰還した米兵160万人のうち、約5人に1人がうつ病またはPTSD(心的外傷後ストレス障害)に苦しんでいるとの報告を出している。(c)AFP