【4月30日 AFP】米製薬会社バクスターインターナショナル(Baxter International)のロバート・パーキンソン(Robert Parkinson)最高経営責任者(CEO)は29日、米下院のエネルギー商業委員会小委員会の公聴会で、同社の血液凝固阻止剤ヘパリン(heparin)に不純物が意図的に混入されていたとの見方を示した。

「我が社の製品の1つが意図的な不純物混入計画に利用された恐れがあり、その結果多くの人を苦しめてしまったことを重く受け止めている。このような事態を招いたことを強く遺憾に思い、個人として非常に責任を感じている」(パーキンソンCEO)

 ヘパリンを投与された患者にアレルギー症状が出たという報告を米食品医薬品局(US Food and Drug AdministrationFDA)が最初に受けたのは2007年11月。その後785人に重いアレルギーなどの副作用が確認され、少なくとも81人の死亡例がヘパリンとの関連が疑われている。FDAは前月、ヘパリンに含まれていた汚染物質を「過硫酸化コンドロイチン硫酸(OSCS)」と特定したと発表した。

 人工透析や心臓手術などに広く使われているヘパリンは通常はブタの腸などから製造されるが、OSCSを使用すると安価に製造できるという。中国当局はOSCSが患者の死亡やアレルギー症状の原因だとするFDAの調査結果を否定している。

 FDAは、輸入されたヘパリンの成分検査を行っており、現在米国内にあるヘパリンに危険性はないとしている。

 FDAの医薬品評価研究センター(Center for Drug Evaluation and Research)のJanet Woodcock氏は「ヘパリンに混入していたOSCSを検査した結果、12社の中国企業に行き着いた」と語った。バクスターのヘパリンに含まれる有効成分は、米ウィスコンシン(Wisconsin)州に拠点を置くサイエンティフィック・プロテイン・ラボラトリーズ(Scientific Protein LaboratoriesSPL)の中国江蘇(Jiangsu)省常州(Changzhou)の工場で生産されたという。(c)AFP/Jean-Louis Santini