診療費は1時間100万円、ロシアの超セレブ層向け診療所
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【4月14日 AFP】血液検査を終えた患者にはキャビアが出され、精神分析は1時間1万ドル(約100万円)。ロシアの首都モスクワ(Moscow)郊外にあるNeo Vita診療所に通う超セレブ層の患者にとって、十分すぎることは何もない。
「モスクワのビバリーヒルズ(Beverly Hills)」と呼ばれるRublyovka地区に2月に診療所を開設したArtyom Tolokonin氏(33)にとって、超セレブ層の健康を保障することは、自分の帳簿にとっても有意義なことだ。
Tolokonin氏によると、10人ほどの住民が最高で100万ドル(約1億円)相当の年間治療契約を結んでいるという。「健康は買えないというが、買える。なぜならわれわれが売っているからだ」と同氏は語る。
診療所を訪れる人は交番や防犯カメラの前を通過し、外履き用の靴に清潔なオーバーシューズを重ね、ほんのりと照らされた玄関ホールに入る。数台の薄型テレビには田園風景が映し出され、特別に作曲されたストレス緩和用音楽が流れる。
この診療所では、患者の体だけでなく、エゴ、評判を満足させるためなら何でも行われる。
患者の病状が知られないよう、診察室のドアには何の表示もない。よりプライバシーにこだわる患者は、目立たない別の入口を使うこともできる。有名な実業家が診察のために、診療所全体を20万ドル(約2000万円)で借り切ったこともあったという。
「精神分析に1時間1万ドルを払えるのは、極めて特別な人だ」とTolokonin氏は語る。
また、20人の専門医を抱えるNeo Vita診療所が対処するのは、一般的な病気ばかりではない。
「身体的問題に移る前に、まず心を癒す」とTolokonin氏。診療所を訪れる患者で心を開いて語りたがる人はほとんどいないという。
観光業界で働く30歳の女性は、10歳年上の夫と毎週診療所を訪れるという。「基本的には1時間1万ドル弱を払っている。健康はお金より大切だから」と語る女性は婦人科の診察室やピンクの革張りの診察台をほめ、心理学者との面談が妊娠につながればと期待する。
Tolokonin氏は「富裕層はロンドン(London)の歯科医やスイスの著名な栄養士のところに行くが、心の治療はここでしかできない」とし、けた外れの診療費の正当性を主張する。ロシアの富裕層もほかとたがわず、疲労、不眠、薬物乱用、性交不能などの問題を抱えているが、西側の精神分析医はロシア人の精神構造を理解していないと同氏は指摘する。
「わたしは患者のことを心の底から理解している。彼らと同じだけ稼ぎ、一緒に住み、ともにスキーをする。患者が1晩に100万ドルを費やす財力があるのなら、わたしは200万ドルで彼らを治療できなければならないと考えている」「もし、モナコに城を所有しているが愛を見つけられない患者がいるとしたら、その患者に城と同額の治療費を請求しなければわたしの意味はないだろう」
Tolokonin氏はこれまでに数十組みの夫婦を離婚の危機から救ってきたという。ただ、2006年当時、ロシアで最も裕福だったロマン・アブラモビッチ(Roman Abramovich)氏と妻を、離婚前にカウンセリングに来るよう説得することには失敗したという。(c)AFP/Marina Lapenkova
「モスクワのビバリーヒルズ(Beverly Hills)」と呼ばれるRublyovka地区に2月に診療所を開設したArtyom Tolokonin氏(33)にとって、超セレブ層の健康を保障することは、自分の帳簿にとっても有意義なことだ。
Tolokonin氏によると、10人ほどの住民が最高で100万ドル(約1億円)相当の年間治療契約を結んでいるという。「健康は買えないというが、買える。なぜならわれわれが売っているからだ」と同氏は語る。
診療所を訪れる人は交番や防犯カメラの前を通過し、外履き用の靴に清潔なオーバーシューズを重ね、ほんのりと照らされた玄関ホールに入る。数台の薄型テレビには田園風景が映し出され、特別に作曲されたストレス緩和用音楽が流れる。
この診療所では、患者の体だけでなく、エゴ、評判を満足させるためなら何でも行われる。
患者の病状が知られないよう、診察室のドアには何の表示もない。よりプライバシーにこだわる患者は、目立たない別の入口を使うこともできる。有名な実業家が診察のために、診療所全体を20万ドル(約2000万円)で借り切ったこともあったという。
「精神分析に1時間1万ドルを払えるのは、極めて特別な人だ」とTolokonin氏は語る。
また、20人の専門医を抱えるNeo Vita診療所が対処するのは、一般的な病気ばかりではない。
「身体的問題に移る前に、まず心を癒す」とTolokonin氏。診療所を訪れる患者で心を開いて語りたがる人はほとんどいないという。
観光業界で働く30歳の女性は、10歳年上の夫と毎週診療所を訪れるという。「基本的には1時間1万ドル弱を払っている。健康はお金より大切だから」と語る女性は婦人科の診察室やピンクの革張りの診察台をほめ、心理学者との面談が妊娠につながればと期待する。
Tolokonin氏は「富裕層はロンドン(London)の歯科医やスイスの著名な栄養士のところに行くが、心の治療はここでしかできない」とし、けた外れの診療費の正当性を主張する。ロシアの富裕層もほかとたがわず、疲労、不眠、薬物乱用、性交不能などの問題を抱えているが、西側の精神分析医はロシア人の精神構造を理解していないと同氏は指摘する。
「わたしは患者のことを心の底から理解している。彼らと同じだけ稼ぎ、一緒に住み、ともにスキーをする。患者が1晩に100万ドルを費やす財力があるのなら、わたしは200万ドルで彼らを治療できなければならないと考えている」「もし、モナコに城を所有しているが愛を見つけられない患者がいるとしたら、その患者に城と同額の治療費を請求しなければわたしの意味はないだろう」
Tolokonin氏はこれまでに数十組みの夫婦を離婚の危機から救ってきたという。ただ、2006年当時、ロシアで最も裕福だったロマン・アブラモビッチ(Roman Abramovich)氏と妻を、離婚前にカウンセリングに来るよう説得することには失敗したという。(c)AFP/Marina Lapenkova