【3月19日 AFP】世界保健機関(World Health OrganizationWHO)は17日、結核に関する年次報告書を発表し、結核の新規感染者検出率の伸びが鈍化していると警告した。

 WHOのマーガレット・チャン(Margaret Chan)事務局長は記者団に対し、「数年間は結核の管理がうまく進んでいたが、2006年には検出率の伸びがやや鈍化した」と述べた。

 WHOは、世界で発症している結核のうち登録されているのは61%に過ぎないと推計している。2006年に新たに検出された結核感染者は920万人だった。検出されていないケースも含めると、世界中で1440万人の結核感染者がいるとWHOはみている。

 2001-2005年の間、結核感染者の検出率は毎年6%ずつ伸びていたが、2006年の伸びは3%にとどまった。鈍化の理由は、過去5年間安定的な成果を上げていた国家プログラムが2006年には同じペースでは進まなかったこと、多くのアフリカ諸国では国家プログラムで検出率の増加が見られなかったこと、民間治療機関やNGO(非政府組織)などに治療を受けたため検出網をすり抜けたケースがあることなどが挙げられるという。

 チャン事務局長は「新たな時代に入り、成果を上げるためにはまず公共プログラムを一層強化しなければならない。次に、その他の治療機関の可能性を十分に引き出すことが必要だ」と訴えた。(c)AFP