【3月2日 AFP】重症の慢性閉塞性肺疾患(Chronic Obstructive Pulmonary DiseasesCOPD)の治療として肺移植を行う際、片肺だけでなく両肺を移植した場合、術後の生存期間が平均2年間長くなるとする研究が2月29日、英医学雑誌ランセット(Lancet)に発表された。

 COPDは徐々に気道が閉そくする病気の総称で、最大の原因は喫煙とされる。世界保健機関(World Health Organisation)によると2005年には全世界で300万人が死亡、2030年には4大死因の1つになるとみられている。

 最重症患者には肺移植が最も効果的な治療法だとされ、2006年に行われた肺移植手術のおよそ半数がCOPD患者に行われた。しかし、これまでどのような治療が最も効果的なのかを明らかにする体系的な研究は行われていなかった。

 パリ(Paris)にあるビシャ病院のGabriel Thabut研究員らは、国際心肺移植学会(International Society for Heart and Lung TransplantationISHLT)に登録されているCOPD患者9883人のデータを分析した。

 その結果、1987-2006年に移植手術を受けた患者のうち、両肺を移植したのは35.7%、残りが片肺だった。そして、片肺移植を受けた人の平均生存期間は4.59年だったのに対し、両肺を移植した患者は6.41年と、2年近く上回る結果となった。しかし60歳以上の患者には大きな差は見られなかった。

 研究チームは、結果は両肺移植手術がより効果的な治療法であることを示しているものの、提供臓器の数が不足しているため、他の肺疾患の重症患者なども考慮に入れて判断すべきだとしている。(c)AFP