【2月25日 AFP】世界各国の政府は「テロとの戦い」には大きな関心を持っているが、肥満など生活習慣病で亡くなる人は、テロの犠牲者を数百万人上回っているという。

 オーストラリアのシドニーで13日まで開催中の年次会議「オックスフォード・ヘルス・アライアンス・サミット(Oxford Health Alliance Summit)」は第5回を迎える。学会、政界、経済界、法曹界、経済学者、都市計画の専門家らが集まり、変化を推進するための議論を行っている。

 会議では、死亡要因となる貧しい食生活や喫煙、運動不足などの克服が、まん延しつつある慢性疾患と対峙(たいじ)する上で最優先すべきことだといった意見が、法律や健康問題の専門家からあげられた。

 米国の法学教授ローレンス・ゴスティン(Lawrence Gostin)氏は、世界的なテロが脅威であることは間違いないが、肥満や2型糖尿病、喫煙関連の疾患のほうがよほど危険だと指摘する。同氏は取材に対し、「米国同時多発テロ以降、次から次へと新たな脅威に多大な注意を払っている間に、肥満は静かにまん延し、世界中で数百万人が死亡している。それにはほとんど関心を向けず、ごくわずかな資金しか投入してこなかった」と語った。

 会議ではまた、伝染病は各国政府の大きな関心を集め、メディアでも取り上げられる一方、全世界の死亡要因のうち約60%は心肺疾患や糖尿病、がんによるものだとの指摘もあった。

 オックスフォード・ヘルス・アライアンスのStig Pramming事務局長は「重症急性呼吸器症候群(SARS)、鳥インフルエンザ、エイズ(HIV/AIDS)の発生や再発は、テロ、生物テロ、気候変動などと同様、衝撃的で動揺も大きいが、医療制度や経済を追い詰めるものは、予防可能な慢性疾患だ」と述べた。(c)AFP