【11月26日 AFP】インドネシアの保健相が25日、「ツリーマン(Tree Man)」として知られる同国の男性を番組の題材に取り上げ、食い物にしたとして、米国のドキュメンタリー専門チャンネル「ディスカバリーチャンネル(Discovery Channel)」を激しく非難した。インドネシアのメディアが伝えた。

 体の大部分に木の皮のような巨大なイボが生じ、「ツリーマン」の異名を持つDedeさん(32)は、同チャンネルが今月放送したドキュメンタリー番組の中で紹介された。

 同国のインターネット・ニュースサイトDetikcomは、ファディラ・スパリ(Fadilah Supari)保健相が西ジャワ(West Java)州の病院でDedeさんに会った後、「ディスカバリーチャンネルは彼の写真を無料で撮影し、商業利用した。彼は代償として何も受け取っていない」と述べたと伝えている。

 またスパリ保健相は、Dedeさんが同チャンネルに対する権利を要求できるよう、政府から弁護士を派遣する意向だとしている。

 ディスカバリーチャンネル側はこの件に関し、今のところコメントを控えている。

 さらに、Dedeさんが治療のため渡米することをインドネシア政府が禁じたとする憶測について、同相は「彼を渡米させたいという要請を政府側は受けていない。(渡米禁止については)ただのうわさに過ぎない」と一蹴した。

 スパリ保健相によると、インドネシアの医療チームは皮膚科の専門医である米メリーランド大学(University of Maryland)のAnthony Gaspari教授と協力し、Dedeさんの治療を行っていくという。同教授は問題の番組内でDedeさんの診察を行っている。

 同教授によると、巨大なイボはウイルスと遺伝障害の複合的要因によるもので、Dedeさんの免疫システムは脆弱なため、それらを撃退できないのだという。(c)AFP