【11月22日 AFP】世界の人々を生活習慣病による早死から救うための計画が21日、英科学誌「ネイチャー(Nature)」に発表された。計画に従えば、2015年までに世界で少なくとも3600万人を救うことができるとしている。

 計画は、各国の保健専門家で構成する組織がまとめたもので、一致団結した取り組みを行わなければ、この先10年で約3億8800万人が現在まん延している生活習慣病で死亡すると予想。うち80%は貧困国の人が占めるという。

 世界保健機関(World Health OrganisationWHO)の統計によると、早死の44%は心血管疾患、糖尿病、肺疾患、一部のがんが原因となっている。これはすべての感染病を合わせた割合の2倍に上るにもかかわらず、生活習慣病による障害や死亡はほとんど注目されていないのが現状だ。

 計画の対象となる生活習慣病のほとんどは、生活スタイルの変更や既知の薬物療法で回避できるという。筆頭原因には喫煙、運動不足、肥満が挙げられる。寿命が延びたことが一因との指摘もあるが、助言に従うことで救える可能性のある人のうち、1700万人は70歳未満だという。

 計画は、ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ基金(Bill and Melinda Gates Foundation)が2003年に発表した感染病対策「Grand Challenges in Global Health(世界の健康への偉大な挑戦) 」をモデルに、生活習慣病による死者削減を目指す新たな「Grand Challenges(偉大な挑戦)」20項目を挙げた。例としては以下のような内容がある。

 ・生活習慣病対策の「政治的優先課題」を掲げ、健康的な生活様式を促進する。
 ・タバコ、酒類、不健康な食品の消費を阻止する規制を強化する。
 ・飲料・食品業界や外食産業の責任ある行動を監視する法令を整備する。
 ・生活習慣病と貧困、都市化との相関関係を調査する。
 ・疾病の度合いに応じて医療財源を再分配する。
 ・予防に重点を置く。

 計画は英医学研究審議会(UK Medical Research Council)、インド医療評議会(Indian Council of Medical Research)、米国立衛生研究所(National Institutes of HealthNIH)などが参加する「オックスフォード・ヘルス・アライアンス(Oxford Health Alliance)」が支援している。(c)AFP