【10月18日 AFP】肥満の原因はその人個人だけにあるのではない。現代社会の環境も、肥満を引き起こす要因となっている--。英国で政府のシンクタンク「Foresight」が17日、このような内容の研究報告を発表した。

 英国では過去25年間で、肥満の割合が倍増。2004年には全人口のおよそ4分の1が「肥満」と診断されている。

 研究によると、ヒトは生理学的に太りやすい傾向にあり、肥満を引き起こす決定的な要因は個人の行動にある。だが「肥満(obesogenic)環境」が生理学的な傾向以上に、肥満を引き起こす原因になっているという。「肥満環境」とは、高カロリーの食生活、自動車による移動、デスクワーク中心のあまり運動しない生活様式といったものだ。

 つまり、「英国民は現代の英国で暮らしていること」が原因で太っていくのだ」と、同研究は結論付けている。そして「肥満環境」に対抗するには、歩行や自転車での移動がしやすいよう都市を整備し、健康的な食品の摂取が必要だという意識を持たせる教育を行うべきだと主張している。

 同研究は、「肥満問題」の解決に30年ほどかかると予測している。現在の傾向が続けば、15年後には86%の男性が、20年後には70%の女性が、太りすぎと診断され、さらに25年後には英国人の半分が病的な肥満と診断されるという。(c)AFP