【10月9日 AFP】高齢化の進む日本の社会では、将来、誰が高齢者を世話するのか。もし現在開発中の技術が実用化されたならば、高齢の子どもたちがパワーアシストスーツを着用して親の介護をする、そんな日がやってくるかもしれない。

 前週、都内で開催された国際福祉機器展(Home care and Rehabilitation Exhibition)では、いくつかの介護用パワーアシストスーツがお目見えした。

■神奈川工科大学の研究チームの「パワーアシストスーツ」

 神奈川工科大学(Kanagawa Institute of Technology)の研究チームは、「パワーアシストスーツ(Power assist suit)」を出品。サイエンスフィクションの映画に登場するロボットのような点滅灯やケーブルが付いているこのスーツは、総重量30キロで着用には10分かかるが、最高で体重100キロまでの人間を楽に持ち上げることが可能となっている。

 実演では、研究チームの女性が男性を軽々と持ち上げ、空圧アシストにより普通のリュックサックを運んでいるようだとの感想を述べた。

 現在のところ、このスーツは受注による生産のみで、介護施設や病院をターゲットにしているが、将来的には一般家庭にも普及することを研究チームは期待している。

 研究チームは、高齢者でも介護者や子どもたちに頼らずこのスーツを着用できるよう改良も視野に入れている。

■ホンダの開発モデルも登場

 ホンダ(Honda Mortor)もまた、国際福祉機器展に高齢者向けの製品を出品した。高齢者がつえや介助者に頼らず歩行するのを助ける歩行補助装置、「Walking Assist」の開発モデル。

 ホンダが開発した装着型の歩行補助装置は、センサーの付いた腰ベルトと両足ストラップから構成され、センサーで足の動きをモニターしてユーザーの歩行を助ける。

 太ももの裏側に装着された装置が歩行にあわせて足を前方に押し出し、踏み出した足が着地すると、今度は、太もも表側に装着された装置が足を後方に押し出して、体を安定させる仕組みになっている。まだ試作の段階で、総重量も3キロと、体力のない高齢者には多少重すぎる。

 ホンダ技術研究所(Honda R&D)は、この開発プロジェクトにすでに8年を費やしているが、研究チームによると、「Walking Assist」は人工筋肉を使用した「マッスルスーツ」に比べれると軽量であるため、できるだけ早い実用化を視野に入れているという。(c)AFP/Kimiko de Freytas-Tamura