【9月5日 AFP】男性が1日にグラス1、2杯の赤ワインを摂取した場合、前立腺ガンの発症率が低くなる可能性があるという研究結果が8月31日、米国で発表された。

 アラバマ大学バーミングハム校(University of Alabama at BirminghamUAB)の研究チームが、赤ワインに含まれるリスベラトロール(resveratrol)と呼ばれる物質を雄のマウスに投与するという実験を行った結果、前立腺ガンの大半の種類で発症率が87%減少することが判明した。

 リスベラトロールを投与していて前立腺ガンを発症するマウスもいるが、その場合も大きな腫瘍ができにくくなる。また、腫瘍の成長が停止する、もしくは遅くなる可能性が、リスベラトロールを投与しなかったマウスに比べて48%以上高いという。

 赤ワインに心臓病予防の効果があることは知られているが、今回の研究により、赤ワインからリスベラトロールを摂取すると強力な化学的予防作用が得られることが新たに判明したと、研究チームを率いるUAB薬理学・毒物学部のCoral Lamartiniere氏は説明する。

 同氏自身が前立腺ガンの家系でガン発症の心配があるため、毎晩グラス1杯の赤ワインを飲んでいると言う。

■問題点は1日の摂取量

 唯一の問題点はリスベラトロールの摂取量だ。実験で雄のマウスに与えたのと同量のリスベラトロールを人間が赤ワインから摂取するには、1日にボトル1本の赤ワインを飲む必要がある。研究チームは現在、人間が抗ガン作用を得るにはどれぐらいの量のリスベラトロールが必要か、特定に努めている。

 医療関係者らは、男性なら赤ワインを1日に平均2杯、女性の場合1杯にとどめておくべきだとの見解を示している。また、ブドウやラズベリー、ブルーベリー、ピーナッツを食べることでも、レスベラトロールを摂取できるという。(c)AFP