【8月22日 AFP】インドネシアの保健当局は22日、バリ(Bali)島で高病原性鳥インフルエンザA(H5N1)の症状を示している男性(58)を観察中であると発表した。

 同島で前日亡くなった女性1人の死因も同ウイルスだったと疑われている。バリ島では8月中旬、初の鳥インフルエンザ感染による死者を確認した。観光地である同島の当局は6000羽以上のニワトリを処分し、また鶏肉の取引と輸送を禁止した。

 バリ島デンパサール(Denpasar)にあるSanglah総合病院の鳥インフルエンザ対策チームは、「58歳の男性が高熱や咳など、鳥インフルエンザの臨床症状を見せている。男性が死んだニワトリと接触があったことも確認されている」と明らかにした。ただし、もう一つの主症状である呼吸障害は起こっていないという。

 前週、バリ島初の鳥インフルエンザ犠牲者として、死亡後に感染が確認された女性とこの男性は、同じヌガラ(Negara)地区の出身だという。

 男性の検体は検査のため、ジャカルタ(Jakarta)に輸送された。インドネシアでは、2つの検査でのH5N1ウィルスに対する陽性反応で、鳥インフルエンザ感染を公式に確認している。

 21日に死亡した女性についても、より詳しい検査結果が待たれている。同女性(28)は鶏肉取引業だったが、地元試験場での1回目の検査では陽性結果が出ている。

 H5N1ウイルスは現在、インドネシアのほぼ全域で鳥類の間で流行している。バリ島では1年以上前に養鶏場で最初に発見された。

 人間の感染は通常、鳥からの直接感染とされるが、科学者らはウイルスが徐々に変異し、人間同士の間で感染しやすくなる可能性を懸念している。ウイルスが人に感染しやすいよう変異すれば、世界で破滅的な流行となる恐れもあるという。

 インドネシアではこれまでに世界最多の83人が鳥インフルエンザで死亡している。(c)AFP