【8月16日 AFP】中枢神経系に作用する興奮剤メタンフェタミン(methamphetamine)を使用した若者は、使用中止後も老化による脳障害を発症する危険性が高くなるという研究結果が、14日発行の医学雑誌「ニューロサイエンス(Neuroscience)」に掲載された。

 研究グループは、若者のメタンフェタミンの常用が、パーキンソン病と同じ症状を引き起こすのではないかとの仮説から出発。

 研究に当たって正常なマウスと、神経伝達物質のドーパミンを保護したり補修する働きを持つタンパク質GDNFが一部欠如したマウスを用意し、双方にメタンフェタミンを1日数回注入した。ドーパミンは、脳の運動制御の分野で重要な役割を果たす神経伝達物質。

 およそ10か月後、GDNFが欠如したマウスは正常なマウスよりも運動量が明確に減少した。さらに、GDNFの欠如したマウスの方がメタンフェタミンが引き起こす作用に敏感に反応した。

 パーキンソン病は、ドーパミンを生成する神経細胞の欠落が主要な発症原因とみられている。

 メタンフェタミンはスピード、クリスタル、アイスなどの別名も持つきわめて中毒性の高い覚醒剤で、長時間眠る必要を感じず、食欲も抑えることができる。経口錠剤、タバコのように煙を吸う、鼻から吸引する、注射するなどの摂取方法があるが、長期常用すると幻覚や卒中を引き起こす恐れがあるという。(c)AFP