【8月8日 AFP】英国の農場で発生した家畜伝染病の口蹄(こうてい)疫(Foot and mouth disease)に関する調査で8日、近くにある研究所の職員がウイルスの流出に関与した可能性が出てきた。

 報道によると、口蹄疫の発生した以外の農場も観察下に置かれ、農場主らの不安が高まっている。英国では2001年口蹄疫が大流行し、数十億の損失を生んだ。

 サン(Sun)紙およびデイリー・メール(Daily Mail)紙は、動物用医薬品企業メリアル(Merial)の研究所に勤める職員が、口蹄疫発生農場の近くにある自分の菜園経由でウイルスを流出させた可能性があると報じた。メリアルは、米医薬品大手メルク(Merck and Co.)とフランスの同サノフィ・アベンティス(Sanofi-Aventis)の傘下企業。

 農場近くの研究施設には、国立の家畜衛生研究所(Institute of Animal Health)とメリアルの研究所が入っている。

 一方、同日メリアル側は、「これまでのところ、わが社の施設から人間によってウイルスが外部へ流出したことを示す証拠はまったく得られていない」との声明を発表した。

 英安全衛生庁(Health and Safety Executive)の調査報告では、政府の家畜衛生研究所とメリアルの研究所のどちらが汚染源とも特定していないが、前月にそれぞれの施設内で口蹄疫のウイルス株を使用した研究が行われていた点を指摘している。家畜衛生研究所のほうでは10ミリリットル以下の株を使った小規模な実験を、メリアルの研究所では1万リットルという大量のウイルス株を生成していたという。

 英全国農業者連盟(National Farmers' Union)のピーター・ケンダル(Peter Kendall)会長はBBCテレビに対し、今回の発生による損失分やその他にかかる費用を補償するための法的措置を考えていると語った。 
 
 8日中には報告の第2弾が発表される見込みで、ピルブライト(Pirbright)近郊で放牧されている牛たちに感染した状況がいっそう明らかになると思われる。

 最初に口蹄疫が発見された農場と研究施設は約5キロしか離れておらず、7日に2番目の発生が確認された群れは、施設の周辺で放牧されていた。これまでに周辺の家畜200頭が処分されている。

 さらに現場周辺で口蹄疫の可能性がある20件の事例について現在当局が調査中であると、デーリー・テレグラフ(Daily Telegraph)紙は報じている。(c)AFP